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第７−４講　先行技術文献調査（４）


最後にＩＰＣ、ＦＩ、Ｆタームについて若干の解説をしておきます。

ＩＰＣ（国際特許分類）は世界の多くの国で共通に使われている特許分類です。
ＦＩとＦタームはＩＰＣの分類では粗過ぎて多くの文献がヒットし、絞り込むのが大変、といった分野で効率よく検索するためのものです。
ＦＩはＩＰＣを単純に細展開したものであり、ＦタームはＦＩを細分化していると同時に、技術の複合化・製品の多様化に対応するために複数のＦＩの分野をカバーしたものです。
ＦＩとＦタームはいずれも日本独自の決めの細かなサービスです。文献量の多い分野では重宝します。

誤解を恐れずに一刀両断に切り捨てるとすると、これらは「特許調査のプロが非常に限られた時間の中で、クライアントの要求にできるだけ沿った、適量のアウトプットを得るためのツール」であり、理系中小企業経営者であるＡさんご自身が先行技術文献を調査するのにこれらを用いることは、分類体系を十分には理解していない初期の段階では費用対効果の観点からは疑問です。

つまり、キーワードを用いて検索するいわゆるテキスト検索と異なり、ＩＰＣやＦＩ、Ｆターム等を用いるインデックス検索は、人間が文献を精読して付与したこれらのインデックス情報を利用するので、分類体系を理解した人が検索する場合には検索漏れやノイズが少ないという大きなメリットがありますが、そのためには分類体系を理解する必要があります。

分類体系自体は、少なくとも外形的には奥は深くないですが、間口が広く全体を習得しようとすると多くの労力を必要とします。
自分に必要な間口分だけを習得するのには少しですがそれなりの経験が必要です。

たしかに以前のように、データベースが有料で、料金体系が従量制で・・・、といったような時代でしたら、これらのインデックス情報を利用しての効率的な検索と言うのは費用の点で大きな魅力でした。
まさに見事な検索式を立てるサーチャーの時代でした。

しかし、今は無料のデータベースが広く出回り、少なくとも主要国・主要機関が無料のデータベースを提供しています。
また、Ａさんご自身もインターネットの各種検索エンジンを駆使して、仕事や趣味に関する情報を得ておられますよね。
つまりキーワード検索は日常普通に行なわれている非常に抵抗の少ない行為です。

したがって、それほど時間に拘束されない、少し時間がかかってもかまわない、といった場合には、とりあえずキーワードを使って検索し、それから絞り込む、或いは広げるということがＡさんご自身が先行技術文献を調査される場合に効果的ではないでしょうか。

ただ、ＩＰＣについては、もし時間に余裕があるようであれば、なるべく早い時期にＡさんご自身の仕事の属する技術分野の分類については 特許電子図書館のパテントマップガイダンス 等を利用して親しんでおくのが良いでしょう。

ＩＰＣはほぼ各国共通であり、本ホームページの 「関連リンク」 に示した各国特許情報を検索する際に強力なツールとなります。

ＩＰＣ分類表 にもリンクを張っておきます。

（MM20120607）